心の病気 病名と症状について
うつ病について
うつ病とPTSDについて
PTSDについて

パニック障害について
パニック障害はうつ病と合併することの多い病気です。
どちらも脳や神経が疲れて弱っている時に、症状が出現しやすくなります。ですから、治療の基本的な考え方も似ています。きちんと脳や神経を休ませることができる状況にして、改善に役立つようなお薬をきちんと飲むことをお勧めします。
脳の中には、恐怖を感じるような場面に反応して活性化する回路があるのですが、そこが不調になって自動的にスイッチが入ってしまうのが、パニック発作です。通常は数分から数十分持続します。その間に強い不安や恐怖・不快感に加えて、動悸・呼吸が早くなる・手から血の気が引く、などのさまざまな自律神経症状が出現します。必ず時間の経過とともに改善するのですが、その間の「死ぬのではないか」という恐怖が強まり、病院を受診される方も少なくありません。なお、診断が決まるまでは狭心症・心筋梗塞・不整脈のような心臓の病気を見落とさないようにすることも重要です。
発作時には、お薬を使用することもあります。また、深呼吸などをして、ゆったりとした副交感神経が優位な状況を作ることも大切です。


恐怖症について
恐怖症は、ある特定の対象に近づくと、強い恐怖を生じる状態です。
すぐ上で紹介したパニック障害の患者さんでは、パニック発作が起きた場所や状況に近づくことにたいして、恐怖症が出現する方がおられます。人ば集まるような場所で緊張してパニック障害を起こす方では、そのような場所に恐怖する場合があり、その症状は広場恐怖症と呼ばれます。
他にも運転(特に高速道路)、混んでいる電車に乗ることなどに恐怖を感じるかたもいます。
PTSDになるようなトラウマを経験した方の場合には、トラウマを思い出させるような場所や状況に恐怖を感じる場合があります。例えば、津波を経験した方は海に近づくことに恐怖を感じるかもしれません。
恐怖症の治療には、薬物療法が使用されることもあります。また、エクスポージャーという行動療法の技法が用いられることがあります。
エクスポージャーを行う準備として、自分が感じている恐怖・不快感の強さに1~100(1~10の場合もあります)で点数をつけてもらう練習をしてもらいます。そして、恐怖を感じるけれども、それがあまりにも強くなりすぎないような刺激を見つけ、そこから次第に慣れるような練習を行っていただくのです。

双極性障害(躁うつ病)について
双極性障害とうつ病は、見分けがつきにくいことがあります。しかし、両者を混同しないことが重要です。なぜならば、経過やお薬の効き方が違うからです。
やはり、一般的には双極性障害の方がうつ病よりも経過が長く、しっかりとお薬を飲み続ける必要性が高いなど、厳重な管理が必要となります。
うつ病の方に治療のために服用してもらう抗うつ薬を、双極性障害の方が使用すると、あおられるようになって気分が高揚したり、怒りっぽくなったりすることがあります。極端な場合とは、躁転といって病的な状態が誘発されることがあります。したがって、双極性障害の方の薬物療法としては、気分を安定させる効果のある薬を継続して服用していただくことが重要になります。ただし、経過中に抗うつ薬を服用してもらう場合もあり、診察の中で相談しながら決めていきます。
躁状態は、数日間極端に睡眠時間が短くても活動性が保たれる、せかされるように多弁で多動になるなどの特徴があり、気分は爽快な場合と怒りっぽい場合があります。浪費、攻撃的な言動、無謀な事業の開始、恋愛のトラブルなどが多くなり、社会的な信用を失うことにつながる言動が出現しやすく、注意が必要です。
落ち着いていくると、うつの時期がくりかえしたり、長引きやすくなるという経過になる場合が多いです。薬物療法に加え、「少し調子が良い時に、無理して行動し過ぎないように抑える」ことを意識してもらうことが重要場合もあります。

統合失調症について
統合失調症は10代から30代の若い時期に発症することが多い病気で、いろいろな「ストレス」に耐える力が弱く、さまざまな症状が出現してしまいます。たとえば、他の人に悪口を言われるというストレスがかかったとしましょう。元気な人なら気にしないかもしれません。しかし、状態が悪い統合失調症の方でしたら、「自分など必要ない、死ねと言ってくる」幻聴が聞こえてくるようなことが起きるかもしれません。
そのため、援助がない場合に社会的な場面からひきこもりやすくなります。人間の社会は、競争という一面があります。どうしても、対人的な刺激に敏感な統合失調症の方は、そのような競争の場面に巻き込まれると、症状が出現しやすく、社会的な活動の場面が制限されてしまうのです。したがって、軽症の方をのぞいて、長期的に統合失調症の治療に取り組む場合には、デイケアや就労支援施設のような場所で、自分に合った人たちと過ごせるような環境が整えられることが大事です。当院は外来のみでデイケア等がないため、必要な場合には外部の機関と協力を行っています。
統合失調症の症状は幻覚・妄想・興奮といった陽性症状と、意欲低下や社会的な物事への関心の低下などの陰性症状の二種類に分けられます。陽性症状については、しっかりとお薬を飲んで安全な場所で過ごしてもらうことが重要です。陰性症状には、じっくりとしたアプローチが必要になります。
認知症について
認知症は高齢者に発症し、3~10年の経過で物忘れからはじまって、さまざまな心身の機能が低下していく病気です。「もの忘れ」は脳の病気の症状としてそうなってしまうもので、本人も苦しんでいるところですから、周囲はそのことを強く注意しないようにしてください。
日本で一番多いのはアルツハイマー型認知症です。最初に、新しいことを覚えられなくなる記銘力(きめいりょく)障害という症状が現れます。この時期に、自分でものを無くしてしまい、それなのに周囲の人がそのものを盗んだと主張する「もの盗られ妄想」という症状が出現することがあります。
他にも、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、側頭前頭型認知症などがあります。少しずつわからないことやできないことが増えていきます。また、体の具合が悪いと認知症のような症状が出現することがあります。それらを見逃さないで、体の状態をよくしていくことは、常に意識される必要があります。
認知症に対するお薬は、さまざまな研究・開発が行われていますが、現在のところはまだ制限が多い状況です。
介護保険の申請など、福祉分野と連携していくことが非常に重要です。
興奮・徘徊・怒りっぽくなるなどの症状が、経過中の一時期に出現する場合があります。その場合には、その症状を抑えるような対応が必要になることがあります。
発達障害について
発達障害にはいくつかの種類がありますが、代表的なのは自閉スペクトラム症とADHD(注意欠如多動症)です。両方が合併することがります。
発達特性については、生まれついて持っている脳の癖だと理解されます。その部分についての修正を本人に求めることを強制せずに、発達障害の人でも生きやすい環境を整える合理的配慮(ごうりてきはいりょ)が重要だと考えられるようになります。
人間の脳は、環境からの情報を取り込んでいますが、実は他の人間の表情・口調・動きなどに強い興味を向けて、情報を集めています。自閉スペクトラム症の方の脳は、どうやらこの方面への集中が弱いようなのです。そこから対人的な空間の空気を読むことが苦手という特徴が生じます。その分、自分なりのこだわりが強くなる場合もあります。ただし、自閉スペクトラム症の方でも、療育などを通じてかなり社会的な場に溶け込むことができるようになる場合もあります。
ADHDの方は、不注意と多動・衝動性が症状の中心です。特に不注意については、薬物療法が有効な場合があります。
発達障害の場合には、その場で少数派になってしまうことが多く、特にADHDの方は周囲の方から叱られたり注意されやすいようです。その結果、自分に自信がなくなったりといった二次障害が生じる場合も多いのです。このような二次障害を防ぐというのも発達障害の方とかかわる場合には重要な視点です。
軽症の方の場合に、大人になってから見つかる場合もあります。当院でも、知能検査(WAIS-4)と自閉スペクトラム症とADHDのスクリーニング検査は実施できるようにしています。気になる方は、ご相談ください。
診療時間
学会、講義などにより休診とさせていただく場合がありますので、診療カレンダー・お電話にてご確認いただくことをお勧めします。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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09:00〜12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | - |
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※予防接種の予約・変更は一般診療時間内にお電話でお願いします。
