• 22 5月 18
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    PTSDとPE法

    PTSDは、トラウマとなるような外傷体験が起こった後に発症します。外傷体験とは、自分が危機的状況に陥る、生命を脅かされるような衝撃的な体験をすることです。また、他人の死や負傷を目撃することで発症することもあります。

    東日本大震災の被災地では、特に震災後に放射能の問題がクローズアップされることが多かったために、地震や津波がきっかけとなって発症したPTSDへの対策が十分に行われていない傾向があります。当クリニックにも、強い症状を何年も持っていたのにもかかわらず、ずっと治療を受けないでいた方が受診することがあります。

    そうなる理由としては、「病気だと思わなかった」「みんな我慢しているので、自分ばかりが弱音を吐くべきではないと思った」「話しても周囲の人に理解されないと思った」と考えていたと、受診された方々は話されています。

    しかし、PTSDははっきりとした病気です。放置しておくことで、二次的なうつ病やパニック障害が出現したり、イライラしやすくなって人間関係が悪くなったりします。ある程度強い症状が長期間続いている場合には、治療を受けることをお勧めします。

    PTSDの症状

    以下のようなものがあります。

    1. トラウマの場面を夢に見る、フラッシュバックするといった再体験症状
      単に「思い出す」というよりも、「もう一度体験している」という感じです。
      夢やフラッシュバックという形で、トラウマの記憶が心に「侵入してくる」感じです。
      今は安全な心配のない状況なのが分からなくなり、トラウマ体験の渦中にいるような恐怖と不安を感じます。
    2. 回避・麻痺
      トラウマを思い出せるような物や場所を避けるようになります。
      それによって短期的には苦痛が減るのですが、長期的には不安なく活動できる幅が狭くなるので、それによる弊害も大きくなります。
      外側の現実の物や状況ばかりでなく、たとえばトラウマと関係ありそうな自分の中の「感情」「感覚」「考え」などを避けるようになっている場合もあります。その場合は、心の生き生きとした感じが損なわれてしまいます。
    3. 覚醒亢進症状
      いつでも、心と体が危険に対して身構えているような状態になってしまいます。
      不眠が一番典型的な症状です。イライラしやすくなる人も少なくありません。
      このような緊張を和らげるために、アルコールなど薬物の量が増える方もいます。
    4. 悲観的な考え方が強くなる
      トラウマを経験すると、悲観的な考え方が強くなります。
      それまで世界や社会に対して抱いていた信頼が希薄になり、信用できない危険なものと感じるようになります。
      自分への信頼が失われることがあります。起きてしまった悲劇的出来事の責任を感じて、自分を責める人も少なくありません。また、自分の能力が足りないと、強く責めるようになることもあります。
      自分や周囲の人の、「善良さ」を信じられなくなることもあります。

    PTSDの治療法としてのPE(持続エクスポージャー)法

    PTSDの症状が強い場合には、治療を受けることをお勧めします

    薬物療法だけでは十分に改善しないことが多く、さまざまな精神療法が行われますが、その中で認知行動療法の一つであるPE(持続エクスポージャー)法は、PTSDに対して有効であることを証明する証拠(エビデンス)が、多数ある治療法です。

    週に1回、1回90分の治療を、全部で6から15回ほど行います。

    ほりメンタルクリニック院長の堀有伸は、このPE法のセラピストの資格を持っておりますので、この治療に興味のある方は是非ご相談ください。

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